悲しいおもひで
2002年7月4日小さい頃
小学生くらいの頃
5歳年下のいとこが近くに住んでいた
その子はMちゃん
一人っ子だった
そこのお父さんは優しくて 静かで温厚な人だった
あたしはいつも 酒飲みで仕事一途な父が嫌いだった。
お父さんが代わって あのおじちゃんがお父さんになればいいのに
正直そう思った
勉強を教えてくれるMちゃんのお父さん
いつもどこかへ連れて行ってくれるお父さん
とても仲のいい親子だった
羨ましかった
そのおじちゃんは 保護司というのだろうか
犯罪を犯して出てきた少年の面倒をみる
そんなボランティアもしていた
何年かたったある日
今から30年くらい前の話であるから
Mちゃんちがクーラーを買ったって聞いた
今は1家に1台はあるクーラーも
その当時はかなり高い
それをぽんっと買ったって聞いて
子供心に 『お金があるんだなぁ』って思ってた
それは 始まりだったのかもしれないし
終わりだったのかもしれない
突然 ガラの悪い人達がやってくるようになった
そう 彼は家族に内緒で サラ金からお金を借りていたのだ。
Mちゃんやおばちゃんは全然気がつかなかったらしい。
一家離散の始まりだった
おばちゃんは うちの母の妹だったから
うちの両親に『お兄さん 助けてください』って
『夜の仕事でもなんでもしますから』って
泣いて頼んでたのを覚えてる
それに比べて 当の本人はぼーっとしてたような気がする。
結局 何十万が貸してあげたらしい
それを返してもらったかどうかは知らない
おじちゃんは 怖い人達から逃れるように
東京に 働きに行った
残された Mちゃんとおばちゃんは実家に帰った
怖い人達が 家財道具をかっさらっていく前に
いろんなものを運び出したそうだ
うちにも 怖い人達から電話がかかってきた
うちの父は管理職だったから
名前を出したらしい
ある日 電話に出たら 怖い人だった
『○○さんの居場所を教えろ』
まだ 小学生だった あたしは電話で脅された
『知りません』 そういって切った
おじちゃんの実の兄弟なんか冷たいもんでした
何年かたった冬 東京に働きに行ったおじちゃんに
Mちゃんとおばちゃんは会いに行った
窓もない狭い部屋に住んでいたらしい
破れたシャッを着て・・・
月日は流れ Mちゃんは高校生になった
おじちゃんが帰ってきたらしい
おばちゃんに復縁を迫る
当然とうの昔に離婚してるから
それを断ったらおじちゃんは
台所から包丁持ってきて 目の前でチラつかせて
『別れるなら 殺してやる』 そう言われたそうだ
あの優しくて いつもニコニコしてたおじちゃんが・・・
それから今度は おばちゃんに金のむしんが始まった
おばちゃんは 別れたいけど怖い
自分で働いたお金を あげてたようだ
それからまた何年か経って
電話で おばちゃんと話した
『○○○さん 元気? お母さんおるね?』
『うん 元気 ちょっと待って』
それが おばちゃんと話した最後だった
その電話の2週間後 脳卒中で倒れ
救急車で運ばれ 生命維持装置をしばらくつけて
家族の同意で外したのか どうかわからない
だってもう 自力で呼吸できなかったんだから
かけつけた時
何十年かぶりに見た おじちゃんだった
『コノヒトガ ・・・』
親戚のある人が言った
『あんたのおかげでこんなに苦労して・・
出てって下さい』
おじちゃんは無言で出て行った
おばちゃんは 意識を取りもどすことなく
天にめされた
それから 何年か経って
Mちゃんから連絡がきた
おじちゃんが亡くなったと
誰からも見取られず さびしく。
うちの父は 酒飲みで仕事ばっかりしてて
遊びにもあまり連れて行ってくれなかったし
勉強だって教えてくれなかった
でも 家を建て定年まで働き、あたしたちが
ひもじい思いをすることなく
ほしい物は買ってもらって
あたし達が結婚して 孫が生まれて
孫と遊ぶのがとても楽しそうだった
7月から年金がもらえるって
喜んでいたけど
ガンがみつかり 年金給付の前に
一度ももらうことなく 天に召された
お父さん ありがとう
育ててくれて ありがとう
馬鹿な娘でごめん
いつか あたしがそっちに逝くときは
必ず 迎えにきてください
小学生くらいの頃
5歳年下のいとこが近くに住んでいた
その子はMちゃん
一人っ子だった
そこのお父さんは優しくて 静かで温厚な人だった
あたしはいつも 酒飲みで仕事一途な父が嫌いだった。
お父さんが代わって あのおじちゃんがお父さんになればいいのに
正直そう思った
勉強を教えてくれるMちゃんのお父さん
いつもどこかへ連れて行ってくれるお父さん
とても仲のいい親子だった
羨ましかった
そのおじちゃんは 保護司というのだろうか
犯罪を犯して出てきた少年の面倒をみる
そんなボランティアもしていた
何年かたったある日
今から30年くらい前の話であるから
Mちゃんちがクーラーを買ったって聞いた
今は1家に1台はあるクーラーも
その当時はかなり高い
それをぽんっと買ったって聞いて
子供心に 『お金があるんだなぁ』って思ってた
それは 始まりだったのかもしれないし
終わりだったのかもしれない
突然 ガラの悪い人達がやってくるようになった
そう 彼は家族に内緒で サラ金からお金を借りていたのだ。
Mちゃんやおばちゃんは全然気がつかなかったらしい。
一家離散の始まりだった
おばちゃんは うちの母の妹だったから
うちの両親に『お兄さん 助けてください』って
『夜の仕事でもなんでもしますから』って
泣いて頼んでたのを覚えてる
それに比べて 当の本人はぼーっとしてたような気がする。
結局 何十万が貸してあげたらしい
それを返してもらったかどうかは知らない
おじちゃんは 怖い人達から逃れるように
東京に 働きに行った
残された Mちゃんとおばちゃんは実家に帰った
怖い人達が 家財道具をかっさらっていく前に
いろんなものを運び出したそうだ
うちにも 怖い人達から電話がかかってきた
うちの父は管理職だったから
名前を出したらしい
ある日 電話に出たら 怖い人だった
『○○さんの居場所を教えろ』
まだ 小学生だった あたしは電話で脅された
『知りません』 そういって切った
おじちゃんの実の兄弟なんか冷たいもんでした
何年かたった冬 東京に働きに行ったおじちゃんに
Mちゃんとおばちゃんは会いに行った
窓もない狭い部屋に住んでいたらしい
破れたシャッを着て・・・
月日は流れ Mちゃんは高校生になった
おじちゃんが帰ってきたらしい
おばちゃんに復縁を迫る
当然とうの昔に離婚してるから
それを断ったらおじちゃんは
台所から包丁持ってきて 目の前でチラつかせて
『別れるなら 殺してやる』 そう言われたそうだ
あの優しくて いつもニコニコしてたおじちゃんが・・・
それから今度は おばちゃんに金のむしんが始まった
おばちゃんは 別れたいけど怖い
自分で働いたお金を あげてたようだ
それからまた何年か経って
電話で おばちゃんと話した
『○○○さん 元気? お母さんおるね?』
『うん 元気 ちょっと待って』
それが おばちゃんと話した最後だった
その電話の2週間後 脳卒中で倒れ
救急車で運ばれ 生命維持装置をしばらくつけて
家族の同意で外したのか どうかわからない
だってもう 自力で呼吸できなかったんだから
かけつけた時
何十年かぶりに見た おじちゃんだった
『コノヒトガ ・・・』
親戚のある人が言った
『あんたのおかげでこんなに苦労して・・
出てって下さい』
おじちゃんは無言で出て行った
おばちゃんは 意識を取りもどすことなく
天にめされた
それから 何年か経って
Mちゃんから連絡がきた
おじちゃんが亡くなったと
誰からも見取られず さびしく。
うちの父は 酒飲みで仕事ばっかりしてて
遊びにもあまり連れて行ってくれなかったし
勉強だって教えてくれなかった
でも 家を建て定年まで働き、あたしたちが
ひもじい思いをすることなく
ほしい物は買ってもらって
あたし達が結婚して 孫が生まれて
孫と遊ぶのがとても楽しそうだった
7月から年金がもらえるって
喜んでいたけど
ガンがみつかり 年金給付の前に
一度ももらうことなく 天に召された
お父さん ありがとう
育ててくれて ありがとう
馬鹿な娘でごめん
いつか あたしがそっちに逝くときは
必ず 迎えにきてください
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